運動器を制御する非線維性コラーゲン分子の役割 〜遺伝子改変マウスモデル研究からわかったこと〜
岡山理科大学獣医学部 伊豆弥生(JALAM教育委員会)
コラーゲンは、哺乳動物を構成するタンパク質の中で最も多く含まれる(全タンパク質の約30%)細胞外マトリクス構成成分であり、3本のa鎖からなる3重らせん構造(コラーゲン構造)を特徴とした分子群を表します。コラーゲン分子は、現在までに28種類が発見され、順番にI型、II型とローマ数字で番号が付けられています。コラーゲン分子は、自身が重合し線維を形成する線維性コラーゲンと、線維形成をしない非線維性コラーゲンの2つに大別されます。「コラーゲン」としてよく知られているのは、I型やII型であり、これらは線維性タイプに分類され、組織の構造基盤を構築します。一方、非線維性タイプは、ビーズ状や膜貫通型など様々な構造をもち、線維性タイプが作る線維の太さや長さなどの調節に関与する他、細胞の増殖や分化など、生理活性分子として機能することも知られています。私はこれまで、非線維性コラーゲンのうち、VIとXII型コラーゲンに着目して研究を行ってきましたので、本コラムでは、これらコラーゲン分子による運動器制御機構について、動物モデルの研究結果とともに紹介したいと思います。