病気の仕組みを知ることや治療法の開発において、実験動物を用いた研究は不可欠です。1989年に胚性幹(ES)細胞を用いて作製されたノックアウトマウスを皮切りに、現在までに多くのモデル動物が人々の健康・福祉への貢献を目的に作製されてきました。特に、2013年春に誕生したゲノム編集技術CRISPR/Cas9法は、遺伝子レベルで制御された多くの疾患モデル動物の創出を可能にしてきました。さらに現在では、モデル動物の作製に用いられてきた様々な遺伝子工学技術が、遺伝性疾患の次世代治療法として応用が期待されています。今回は、筋ジストロフィーという遺伝性筋疾患を例に、モデル動物の病態研究と治療法開発への貢献、また今後の課題についてご紹介したいと思います。