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実験動物の記事一覧
実験動物の里親制度
このように研究機関においては実験動物の健康と福祉を管轄する選任獣医師の承認が必須になっています。さらに演者が所属しているブラウン大学の譲渡動物の基準が説明されていますので併せて紹介します。
・譲渡される動物は健康で、行動に問題がないことが確認されていなければならない。
・FDAが承認した人用もしくは動物用医薬品、サプリメント、もしくは動物用医薬品の薬品グレード化合物以外の物質を投与されていないこと。
・感染性物質に曝露されていないこと。
・遺伝子組換え、もしくは免疫抑制動物ではないこと。
・職員もしくはその家族のペットとしてのみ許可され、販売されないこと。
・人用もしくは動物用の食料とされないこと。
・里親は将来に渡って獣医学的ケアが必要な場合は責任を持つこと。
大学と製薬企業では譲渡条件も異なるとは思いますが(製薬企業は承認前の化合物を投与しているため、この条件では譲渡できない)、基本的には各国の法律や規則、大学や企業の動物実験委員会での規程など厳格なルールのもとに動物を選定する必要があることが分かります。
先にも述べたように里親制度が出来たことで実験動物を譲渡することで救われる命がある一方、命の選別をしなければならない実験従事者がいるのも事実です。彼らの精神的負担を軽減するためにも譲渡動物選定における明快なルールの策定と、実験動物の里親制度の更なるブラッシュアップが求められています。
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