私観・日本実験動物医学会史(第2回)
第二回 実験動物懇話会と実験動物研究会の設立
(このコラムはJALAMニュースレターNo.40/2013.2に掲載されている特集を転載しています)
実験動物懇話会の設立
1991 年(平成 3 年)4 月に「実験動物懇話会」が慶応大学前島一淑教授を始め 10 名の呼びかけで日本獣医畜産大学にて設立会が開催された。この時の講演会では「実験動物界における欧米諸国の獣医師の役割」のタイトルで、黒澤努先生のイギリスとフランスの状況、前島先生からアメリカの状況が紹介された。
また、前号にも述べた様に私はこの年の 10 月 5 日から 11 月 4 日まで米国のミシガン大学等六つの大学研究機関の動物実験施設を訪問したが、この時の経験を基に帰国早々の11 月に「実験動物(動物実験)専門獣医師制度の確立に向けて―私見—」という文章を公表した。そこには当時の状況下で実現可能と思われるシミュレーションを示したものである。そこでは実験動物専門獣医師制度及び専門医育成制度の早急な確立に向けて、第一にこれらの制度によって立つべき組織として、日本獣医学会や日本獣医師会、日本実験動物学会等を上げ、第二に教育制度として2 つの制度、すなわちレジデント制度と講習会制度を提案した。もちろん前者は ACLAM の制度を模してわが国に適用した場合、後者は現状をにらんで可能な方法を示した。そして最後に当時私が在籍していた北海道大学を例として上記制度の設立の可能性をシミュレートしたものであった。
翌年の 1992 年(平成4年)4 月には実験動物懇話会の小シンポジウムとして私が「実験動物医学に関する卒後教育」のタイトルで前回紹介した ACLAM の制度を紹介した。そして 1992 年(平 成 4 年)9 月には北海道大学学術交流会館で前島先生をはじめ鍵山先生や私により周到な企画立 案と準備を行ない、「実験動物医学の専門教育に期待するもの」とのタイトルで、午後の 4 時間 をかけて懇話会として最大のシンポジウムを開催した。そこでは私を始め、高橋和明、浦野徹、 高頭廸明、山本博、前出吉光、鍵山直子の各博士がそれぞれの立場から意見を述べ、議論した。