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実験動物の記事一覧

マウスやラットの技術トレーニングで使用される代替法教材
1. シミュレーター(模型)
・マウスシミュレーター: Mimicky® Mouse
Mimicky® Mouseはマウスの質感やサイズ、重量などを精巧に再現したシミュレーターです。初心者を対象としたシミュレーターであり、動物の抑え方や投与の手順などを確認する際に使用されます。尾の部分には模擬血管が埋め込まれており、尾静脈投与の練習が可能です。尾は本体と取り外しできるようになっており、尾の部分だけ別途購入し付け替えて使用することができます。マウス個体のシミュレーターは世界的に珍しく、その再現性の高さから海外からの評価も高いようです。Mimicky® Mouseの使用例についてはここから動画で確認できます。

また、同社よりサルの静脈採血・投与のシミュレーター(Mimicky® Vessel)も販売されています。
・マウスの尾静脈投与・採血のシミュレーター:マウス尾静脈シミュレーター
尾静脈からの投与・採血に特化したシミュレーターで、尾の部分のみの形で日本クレア株式会社から販売されており、ここから使用方法の動画を視聴できます。シリコン製の尾の内部に尾静脈のチューブが2本埋め込まれており、マウスの尾静脈が精巧に再現されています。保定器に接続し、インクなどの模擬血液をチューブ内に充填後、採血・投与のトレーニングを行います。実際に生体で投与・採血を行う時と比べて難易度はやや低く設定されており、初心者が手順を覚える上で調度よい難易度になっています。また材質の特性から耐久性が高く、繰り返し使用することができます。

・ラットシミュレーター:NATSUME RAT
ラットの基本手技を訓練するための初心者用シミュレーターの一つです。訓練可能な技術は保定、経口投与、尾静脈内投与・採血、気管挿管です。NATSUME RATは比較的古くから使用されてきた国産シミュレーターですが、近年リニューアルが行われ、材質が改良されました。ラットシミュレーターについては国内外で複数のものが存在します。実物のラットと各ラットシミュレーターの形態的な比較を調査した論文で、NATSUME RATは他のシミュレーターと比較し、頭部の形状や血管の位置、尾の構造をはじめとした各部位において形態の再現度が高かったと報告されています(1)。


米国獣医学会(AVMA)動物の安楽死指針2020年版出版記念 -紹介動画-
日本実験動物医学専門医協会は、AVMAと翻訳契約を取り交わし、「米国獣医学会 動物の安楽死指針(安楽死ガイドライン):2020年」版の翻訳本(翻訳者代表 黒澤努、鈴木真)を出版しました。本ガイドラインは、国際的に容認される具体的な安楽死法を示しており、主に獣医師を対象に記載されています。専門的ではありますが、最新の情報を網羅しており、獣医師以外の動物にかかわる方々の指針としても重要な文献です。(原文はこちら)
2013年度版から改訂された2020年版では、第3章にS1コンパニオンアニマル、S2実験動物、S3家畜、S4馬、S5鳥類、S6魚類と水生無脊椎動物、S7野生動物と7つの動物に区分されて記載されています。
日本実験動物医学会および日本実験動物医学専門医協会は、本指針が広く周知されることで、わが国の動物福祉がより向上することを期待します。また、実験動物ならびにその他の動物の人道的な取り扱いを広めるための啓蒙活動を継続していきます。
米国獣医学会(AVMA)動物の安楽死指針(安楽死ガイドライン)2020年版の紹介
炭酸ガスを用いた安楽死
Compassion Fatigue(共感疲労)
Compassion Fatigueについて、さらに知りたい方はこちらもご覧ください。

遺伝性疾患の研究における実験動物の役割と課題〜筋ジストロフィーモデル動物を例に〜
1. 遺伝子変異の解析とモデル動物の作製
筋ジストロフィーは、40種類以上の遺伝子のいずれかに変異が生じて発症する遺伝性筋疾患の総称です(1)。原因遺伝子によって違いはありますが、進行性の筋力低下と骨格筋の組織変性を主徴とする致死的な疾患です。患者数が最も多いデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、筋細胞膜の構造維持に不可欠な蛋白質をコードするジストロフィン(DMD)遺伝子の変異が原因で発症するX連鎖劣性遺伝疾患です(2)。DMD遺伝子は78個のエクソンから構成される全長2.4 Mbの巨大な遺伝子です。このような巨大な遺伝子上に多様な変異が様々な箇所に生じるため、診断や治療法の開発が困難となっています。
DMD遺伝子の変異の型は、コドンの読み枠がずれる「アウト・オブ・フレーム型」と読み枠が維持される「イン・フレーム型」に大別されます。前者のアウト・オブ・フレーム型変異ではジストロフィン蛋白質が産生されないため重症のDMDとなりますが、後者のイン・フレーム型変異では短いジストロフィンが産生されるため、多くは軽症のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)と診断されます。これらの型はさらに欠失や重複、点変異など様々な変異によって生じるだけでなく、現在では変異パターンに応じて予後が異なることが明らかとなりつつあります(3)。変異の種類に応じた病態を理解するためには、患者と同様な変異を持つ遺伝子改変動物が必要です。しかし、欠失だけでも500種類以上が報告されている変異に対して、それぞれのモデル動物を作製することは現実的ではありません。そこで活躍するのが、遺伝子変異の種類や頻度、症状などの様々な情報がまとめられているデータベースです。DMDを含む遺伝性筋疾患の分野においてもいくつかの国家規模または国際的規模のデータベースを利用することできます(3)。このような情報を利用することで、発生頻度の高い変異や重症度を調べることができます。すなわち、無数にある変異の中から「どのような変異を持つモデル動物を作製すべきか」の指針となる情報が得られる場合があります(図1)。

図1 遺伝性疾患の国際的open database(LOVD: https://www.lovd.nl/)を用いて解析されたDMD遺伝子の欠失変異の頻度と重症度スペクトラム。赤は重症のDMD、青は軽症のBMDを示す。Ex, エクソン(数字は欠失したエクソンの番号); IN, イン・フレーム変異(短縮型ジストロフィンの産生が可能な変異)。記載のない項目は全てジストロフィンを産生できないアウト・オブ・フレーム変異を示す。Echigoya Y, et al. J Pers Med. 2018, licensed under CC BY 4.0.

【Webinar】マウスの環境エンリッチメントと老齢モデルコロニーの維持(EPトレーディング株式会社提供)
実験動物の特殊飼料やエンリッチメント、水分・栄養補給用ジェルなどを取り扱っているEPトレーディング株式会社(https://www.eptrading.co.jp/index.html)に、JALAMのために日本語字幕付きWebinar動画をご提供いただきました。

AALAS(米国実験動物学会)2020で行った、ジャクソンラボラトリー Dr.Schile による「環境エンリッチメントと繁殖」、「老齢モデルコロニー の維持」の解説ビデオ(51分)
https://www.eptrading.co.jp/service/ssp/video.html

実験動物のリホーミング
最近では、酪農学園大学から引き取られた実験犬「しょうゆ」の里親譲渡の話題もあり、こちらも「実験動物の里親制度」についてのコラムですでに紹介されていますが、国内でも少なからず実験動物を安楽死せずに余生を送らせるリホーミングの活動が行われています。リホーミングは動物の福祉を考えること、また実施者の心理的負担を軽減させるという点でとても有意義なことではありますが、同時に、実験動物が社会の目に触れ、動物実験に関心をもつきっかけとなるということは、社会的に適正な動物実験を考える上でもとても重要なことでもあるのではないでしょうか。
ここでは実験動物のエンドポイントとして安楽死に代わる選択肢としての可能性があるリホーミングについて、実際にリホーミングをされた方からの寄稿を交えて、文献を紹介します。多くの方が実験動物に関心を持ち、適正な動物実験を考えるきっかけとなればと思います。
文献紹介:リホームされた実験用ビーグルは、日常的な場面でどのような行動をとるのか?
製薬企業から引き取られた実験犬の、その後に関するドイツでの調査です。
文献紹介:英国で行われた実験動物のリホーミング実践に関する調査
実験動物のリホーミングに関する英国での実態調査です。
文献紹介:フィンランドにおける実験用ビーグルの最初のリホーミング:社会化訓練からフォローアップまでの完全なプロセス
フィンランドで行われた実験用ビーグルの最初のリホーミングと社会化プログラムの紹介です。





