動物が人になつく ~その不思議な行動のしくみ解明を目指して~

人に能動的になつくマウスをつくる
では、人に自発的に近づき接触してくるような、そんなマウスを作ることはできるのでしょうか?私たちは、選択交配という手法を用いてこの問いにチャレンジしました(3)。 まず、由来の異なる8種類の野生系統を交配して、毎世代16ペアの交配をランダムに組むことで、膨大な遺伝的多様性を維持したアウトブレッドストックの一種である野生由来ヘテロジニアスストック(WHS)を作りました(図2)。この遺伝的多様性があるがゆえに能動的なつき行動の多様性も期待できると考えたのです。その上で、先に述べた「能動的なつき行動テスト」を行い、その値の高い個体を選んで次の世代を交配するための親とすることにしました(図3)。もちろん、毎世代交配ペアは遺伝的多様性を維持するためにランダムに組み替えます。このようにすることで、ゲノム全体のヘテロ接合性は維持しながら、能動的なつき行動に関わる遺伝子に関してはその値が高くなるように特定の遺伝子型の組み合わせが選択されることを狙っているのです。このような交配を繰り返し、選択群として2集団(S1とS2)、非選択群として2集団(C1とC2)を作製しました。選択交配の9世代目(G12)ですでに顕著な効果がみえ始め(3)、現在の40世代目では選択した2集団と選択していない2集団では能動的なつき行動の大きな違いが安定してみられるようになったのです(図3)。



国立遺伝学研究所マウス開発研究室 小出剛