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JALAM会員からの寄稿

特集

佐々木 宣哉

ササキ ノブヤ

北里大学獣医学部実験動物学研究室 教授

寄稿文

情報発信のあり方を考える

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今野 兼次郎

コンノ ケンジロウ

国立循環器病研究センター研究所

寄稿文

温故知新、前島賞」

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安居院 高志

アグイ タカシ

北海道大学名誉教授

YouTubeチャンネルの紹介

前JALAM会長の安居院高志先生(北大名誉教授)が、YouTubeチャンネル「ブラ野食」を開設されました。本チャンネルでは、自然散策や山菜類の魅力を発信されております。
YouTubeで「ブラ野食」を検索いただき、ご興味のある方はぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCmEoriPMtTlbujnPBQnY_9w

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JALAM学術集会委員会

JALAM会員の寄稿の記事一覧

「温故知新、前島賞」

皆さんは「前島賞」の由来や趣旨をご存知でしょうか。

前島賞をご存知の方でも、この賞の由来となっている前島一淑(まえじま・かずよし)先生をご存知ない方、特に若い方に増えてきているかもしれません。そこで、このコラムでは、前島先生と前島賞を知って頂くと共に、先輩を倣い、実験動物医学を一層、発展させる事を考える機会になれば幸いです。

JALAM初代会長の前島一淑(まえじま・かずよし)先生は、1937年、静岡県生れで、1960年に北海道大学獣医学部を卒業されました。その後、1962年に東京大学伝染病研究所(北里柴三郎が創設、現東京大学医科学研究所)助手に着任され、田嶋嘉雄先生や藤原公策先生の両先生の指導の下で感染症の研究を開始し、実験動物学、無菌動物学、実験動物衛生管理学を中心に多方面にわたって業績を残されました。1973年には慶應義塾大学医学部に助教授で着任された後には(1988年教授就任)、日本において実験動物福祉や動物実験倫理の分野を開拓されました。また、獣医学系大学において実験動物学の講義を開講をされると共に、笠井憲雪先生らと共に、実験動物医学専門医制度を確立されるなど、後進の指導にも大きく貢献されました。こうした業績が認められ、2003年には日本獣医学会賞越智賞を、2005年には、日本実験動物学会功労賞を受賞されました。

前島先生のご芳名を冠した前島賞が創設された経緯ですが、2003年に前島先生が慶應義塾大学を退任されるのを機に、JALAMに多額の寄付をされました。JALAMでは、前島先生の意思を汲み取り、後継者の育成を目的とした賞(前島賞)を創設すること事となりました。前島賞は、JALAM学術集会において最も優秀な発表を行った会員1名に贈呈されます。賞の創設は2004年ですので、既に18年の歳月が流れ、毎年、多数の応募があり、本年まで18名の先生が受賞されております(下表参照)。審査にあたっては、研究の独創性及び新規性、科学的重要性、実験動物学分野への貢献と将来への期待を基準に選出されてきました。その結果、多くの優れた成果が得られ、新たな分野が拓かれてきました。これからも、JALAM学術集会(前島賞への応募)が若手研究者の一層の活躍につながる場になることを期待しております。

来年より、本賞は、日本獣医学会の賞として、学術集会優秀発表賞(前島賞)に改名されます。最近は、SDGs (Sustainable Development Goals) と言う言葉をよく耳にする様になりました。若手の研究者の皆さんには、是非、本賞を目指して切磋琢磨して頂き、継続的な成長に繋げて頂きたいものです。

歴代受賞者 (2004-2021)

第1回今野 兼次郎群馬大医 動物実験施設
第2回益山 拓JT医薬総合研究所安全性研究所
第3回高橋 英機理研脳科学研究センター 動物資源開発支援ユニット
第4回浅野 淳鳥取大農獣医 生化学研究室/北大獣医 実験動物学教室
第5回岡野 伸哉東北大医 動物実験施設
第6回酒井 宏治国立感染研 動物管理室
第7回西野 智博北大獣医 実験動物学教室
第8回党 瑞華北大獣医 実験動物学教室
第9回近藤 泰介東大農獣医 実験動物学研究室
第10回大沼 俊名愛媛大 総合科学研究支援センター動物実験部門
第11回北沢 実乃莉東京農工大農獣医 衛生学研究室
第12回佐々木 隼人北里大獣医 実験動物学研究室
第13回中野 堅太国際医療センター動物実験施設/北里大獣医 実験動物学研究室
第14回越後谷 裕介日大獣医 実験動物学研究室
第15回松田 研史郎東京農工大獣医 比較動物医学研究室
第16回 守屋 大樹大阪大谷大薬応用薬学系 免疫学講座
第17回高橋 悠記北里大獣医 実験動物学研究室
第18回橋本 茉由子酪農大獣医 生理学ユニット

コラム

JALAM会員からの寄稿

今野 兼次郎

コンノ ケンジロウ

国立循環器病研究センター研究所

寄稿文

温故知新、前島賞」

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安居院 高志

アグイ タカシ

北海道大学名誉教授

YouTubeチャンネルの紹介

前JALAM会長の安居院高志先生(北大名誉教授)が、YouTubeチャンネル「ブラ野食」を開設されました。本チャンネルでは、自然散策や山菜類の魅力を発信されております。
YouTubeで「ブラ野食」を検索いただき、ご興味のある方はぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCmEoriPMtTlbujnPBQnY_9w

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特集

情報発信のあり方を考える

 科学研究の継続や進展のためには一般市民の支持が必要不可欠です。毎年、Gallup社のアメリカ人の”実験動物を使った医学研究”に対する世論調査に注目しておりますが、2001年〜2019年にかけて徐々に低下してきました (容認率、65% ➝ 50%)。昨年はコロナの影響もあり56%と上昇しましたが、2021年に再び50%に低下しました。日本がお手本としてきた米国の動物福祉政策を以ってしても、容認率の低下は避けられないようです。今回は、関連する話題として、一昨年のJALAS総会にて、塩谷恭子先生が企画された英国Understanding Animal Research (UAR)の活動の一部を紹介させて頂きます。

 UARは、代表のWendy Jarrett氏と8名の職員で運営されるNPO団体で、動物実験に関する情報の透明性を高め、英国民から理解・支持を得ることを目的としている。現在、英国の124の主要な研究機関 (公的研究機関、大学、学会、製薬会社、飼育関連機器会社等)がUARに加盟し、加盟施設は下記の4つの協定を結び、UARは加盟施設への指導・助言を行う。

  1. 実験に動物を使用する場合、いつ、どのように、なぜを明確にする。

  2. メディアや一般市民に対し動物実験についてより積極的に情報を公開する。

   (HPに情報を掲載し、問い合わせや質問には確実に回答すること等)

  3. 自ら進んで動物実験について国民が知る機会を増やす 

  (出前授業や施設内のバーチャルツアー動画を公開する等)。

  4. 年に一度、UARに活動内容を報告し、加盟施設間で情報(成功/失敗体験)を共有する。

 加盟施設のうち、マスコミ向けに動物実験の情報を積極的に提供している施設は61箇所、外部の訪問客を受け入れた施設は57箇所、学校に演者を派遣あるいは施設に学生を受け入れた施設は56箇所、マスコミの撮影を受け入れた施設は13箇所である(2019年)。情報公開において先駆的な試みを行った施設には、12月に開催される情報公開表彰式において表彰される。

 UARは他にも様々な活動を行っている。Webサイトには様々な情報や統計データ、国内外の実験動物を用いた研究に関するニュースが提供されている。様々な動物実験のプロトコールについて、目的や利点だけでなく苦痛についても紹介され、また、学生、ジャーナリスト、一般人向けに動物実験の情報を提供するウェブサイトanimalresearch. infoや、複数の動物施設のバーチャルツアーが体験できるlabanimaltour.orgも作成している。twitter等ソーシャルメディアも積極的に用い、多方面に情報提供を行っている(COVID-19のワクチンの開発過程における動物実験を行う意義について説明した図は、英国の多くのメディアでシェアされた)。

 特に印象的な試みは、11〜18歳を対象に、UARがアンバサダーを学校に派遣し、ワークショップにて学生と”対話”することである若年層ほど動物実験に抵抗を持っているので、将来を担う若者に正しい情報を隠すこと無く提供し、自発的に理解を深めてもらうことが目的である。人は一方的に事実を投げかけられても正しい判断を下すことができないため、学生との共通点や見解の一致点を探すことができる”対話”形式を用いている。年間1万人のペースで、すでに10万人以上の学生と対話を行ってきた。アンバサダーは動物実験の専門家(研究者、医療関係者、獣医師等)や動物飼育スタッフからなる167名のボランティアである。彼らは、効果的な対話法やプレゼン法の研修を受けた後に学校に派遣される。UARのHPには、学校向けコンテンツの一部が公開されている。学生アンケートの結果、アンバサダーのうち管理獣医師の話が最も信用できるとのことである。また、学生や先生方に動物実験施設見学の機会も設けている。

 これらの試みによって、動物実験に関して英国民が入手できる情報は飛躍的に増え、事実を公表しても悪い影響や反発は起きていないこと、施設のHPで情報が豊富に入手できるため情報公開請求件数も減少し、動物実験に関するマスコミのネガティブな報道が大幅に減少したようだ。

 本稿ではUARの試みの一部を紹介しましたが、動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方について、議論のきっかけになっていただければ幸いです。

コラム